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重力波の発見 [科学]

神岡の地下で重力波を検出するためKAGURAを建造中という話題は、
メルマガなどで何度か触れましたが、なんとアメリカの重力波望遠鏡LIGO
が一足先に重力波の直接観測に成功しました。

LIGOはKAGURAと同じくレーザー光線をハーフミラーで直角に二分して、
その光路差を図るレーザー干渉計で、その原理はエーテルの存在を否定
したマイケルソン・モーレーの実験で使われた装置と全く同じです。

エーテル否定により大混乱に陥った物理学をアインシュタインが特殊相対性理論
によって救ったあと、より応用範囲の広い一般相対性理論を元に重力波の存在
を予言しました。

重力波とは電荷や磁荷に変化があると電磁波が発生して空間を伝わって行くように、
物質の質量が変化すると重力場に波が発生して伝わっていく現象です。

しかし実験結果の後付けとも言える特殊相対性理論と違い、重力場の存在を元に
古典力学も吸収してしまおうという一般相対性理論は実験による検証も難しく、
多くの批判に晒され、対抗する理論も数多く作られました。

その後、天体観測などにより一般相対性理論の正しさを示す証拠が次々と見つかり
ましたが、重力波だけは空間を測る物差しそのものが影響を受けて測定できないため
なかなか発見できませんでした。

1974年に連星パルサーの観測によって重力波の存在が間接的に実証され、研究者に
ノーベル物理学賞が与えられました。その後各国が重力波の直接検出を競っていいた
のですが、ついにアメリカが最初に発見しました。

KAGURAは一歩出遅れてしまった感じですが、今回の実験結果の検証や他国の装置
との共同運用による、より精度の高い観測に活躍されることを期待しています。

単純な構造の実験装置が古い理論の破壊と新しい理論(100年も前に作られましたが)
の実証の両方に活躍するのは何か因縁のあるような不思議な感じがします。


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